友人たちは親しみを込めて彼を「FLV」と呼びます。
一族の男子が皆そうであるように、かの有名な高級ブランド創設者である高祖父ルイ・ヴィトンから名を受け継ぎ、フランソワ=ルイと名付けられました。旅行鞄の匠人がはじめてアトリエを設けることになる、パリ郊外のアニエール。同じ地に建てられた一族所有の邸宅で彼は幼少期を過ごします。
しかし、一族が用意した道とは異なる世界を選ぶフランソワ=ルイ。パリ流のエレガンスを取り扱う企業家として、特にイネス・ド・ラ・フレサンジュと長期に渡りコラボレートすることになります。
美しく良質のものを好み、高級ワインと葉巻の愛好家でもある彼は、クオリティの高い料理や高級外食産業に情熱を傾けるあまり、その情熱の中でも最も彼を象徴するもののひとつと人生をともにすることになります。
以前からボルドーに愛着を抱いていた彼は、そこでワインへの情熱と好奇心を育みます。当初は友人たちとともに発見し、共有する題材であったワインが、徐々にコレクションの対象となります。
格付けされたグラン・クリュを所有するワイン生産者や、それよりも慎ましい所有地を訪れるのが彼の楽しみです。重要なのは味と情熱。彼らの多くは夏にアルカション盆地で再会します。そこは彼が何十年も前から生きる喜びを謳歌している地なのです。